SHARE:

牛鬼渕(うしょうにんぶち)

牛鬼渕(うしょうにんぶち)

牛鬼渕は、南平から日浦へ行く途中にある渕である。

この牛鬼渕は、下遊子の河野さん方の横にある井戸(飲み水を汲む井戸)から水が通じているといわれている。

昔、その辺に娘がいた。毎夜男が遊びに来るが、その男は、何時でも戸口の戸を開けないで出入している。

ところが戸口の戸の上に開けてある鶏のとやの入ロの壁穴から出入するらしいので、親が娘に『縫針に麻糸を通して男の着物の裾にさして置け』といって、娘がそのとおりした。

翌朝、調べてみると鶏の出入するとやの壁穴の所から麻が続いて、とうとう牛鬼渕まで行った。

牛鬼渕には、昔から大蛇が住んでいる。さてはその男は大蛇に違いない。

蛇はくろがね(おはぐろ)がきらいだからというのでふしの木から取ったくろがね(おはぐろ)を娘につけさせたら、男が通わなくなったという(これまでが伝説)

ところが南平の酒井増美の父の寅一は、昭和四三年より数えてまだ何十年もはたたぬ人であるが、この寅一は大へん気の強い人であった。

ある時、牛鬼渕に行って『この渕にまことに牛鬼がいるなら出て見ろ』といって渕の中へ放尿したという。

ところがしばらくすると、お祭りに出るような牛鬼のとても大きなのが現れ、寅一を追っかけた。

寅一は命からがら逃げ帰り、真青になって床につき、長らく病んでやっと治ったという。

これは実際あった話。今でもその飲み水を飲む井戸へは、女が月経の時は、絶対に水汲みには行かぬ。若し水汲みに行くとその井戸の水が真っ赤になったという。

あなたへのおすすめ